2002年10月28日(月)20:16

ジスカールデスタン議長は欧州憲法草案を提示

ブリュッセル(AP)

EU憲法会議*)における8ヶ月の協議を経て、同会議のヴァレリー・ジスカールデスタン議長は月曜日ブリュッセルで、2004年拡大後の欧州連合の憲法草案を提示した。この草案は50に満たない条文から成り、とりわけ欧州大統領職の創設を提案している。欧州憲法の最終案は2003年夏のEU首脳会議で各国首脳に対して提示される予定である。

草案の中で元フランス大統領のジスカールデスタン議長は、欧州連合という名称を「欧州合衆国」Vereinigte Staaten von Europa または「統一欧州」Vereinigtes Europa に代えるよう提案した。同議長は憲法会議のメンバーを前に行った演説で、20ヶ国を越える拡大欧州には、すべての市民が自らを欧州人と見なす新たなヨーロッパの基礎となる憲法条約が必要である、と語った。

ジスカールデスタン議長の提案する欧州大統領は、同議長の意向によれば世界の中でEUを代表する任務を負う。大統領制の導入により半年任期の輪番制の議長制度は廃止されることになるという。イギリス、フランスおよびスペインはこの提案を支持した。ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、フィンランド、オーストリア、ポルトガルおよびアイルランドは保留した。これらの国には強力な大統領制がEU小国の弱体化を招くのではないかという懸念がある。

ジスカールデスタン議長は欧州委員会の強化というドイツの提案も取り上げた。しかしイギリスとフランスはこれに強く反対した。また議長の憲法草案は欧州国民会議Europaeischer Volkskongress の創設も提案している。この会議は欧州議会と各国議会のメンバーで構成されるとしている。同会議の任務はEUの戦略的方向の監督とされている。

憲法草案は加盟国がEUから脱退する場合の脱退条項をも定めている。また、欧州連合の市民は二重国籍が認められるとされている。すなわち欧州市民と自国の二つの国籍である。

原題:Giscard d'Estaing legt europaeischen Verfassungsentwurf vor

*)訳注:「EU憲法会議」Europaeischer Verfassungskonvent とは「EU将来像会議」(時に「EU改革会議」EU-Reformskonventとも呼ばれる)を指す。




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